これまでに徳島県の高良神社の密集地帯、高知県の高良神社の密集地帯を紹介した。西日本豪雨被害の傷跡が残る三好市山城町での昨年(2018年)夏の調査、および台風通過による被害もあった高知県安芸地方での昨年秋の調査の成果をまとめたものが以下の2つの表である。
実は香川県にも高良神社の密集地帯がある。三豊市を中心とする財田川水系である。香川県の高良神社調査で大変お世話になっている「伝える会」さんのホームページによると、財田川水系に4社あるという。 まず最初に、三豊市山本町財田西の高良神社から紹介したい。この神社は、菅生神社(三豊市山本町辻1433)より歩いて十数分程のところにあるが、周りには特に目印もなく、小高い木に囲まれ、ナビがなければ見つけるのが難しい。『香川県神社誌』には菅生神社境外末社として、次のように書かれている。
ところが、一つ問題点がある。住所が辻村字東側となっているにもかかわらず、現住所は財田西なのである。隣接する地域であり、山本町に統合されてはいるが、元々は辻村と財田西村(西野村)とは隣村であり行政区分が異なる。 私が現地を訪れたところ「西之村高良神社」との石碑を見つけることによって、かろうじて、その存在を確認することができた。しかし木立ちに阻まれて、直接見ることができない。坂道を登ったすぐ上の辺りであろうと予測できたが、何しろ道が夏草に覆われてしまっており、先程からの雨で濡れている。一歩踏み入れ、草むらの深さに、一瞬ひるんでしまった。7月中旬、蛇が出てもおかしくない季節である。引き返そうかとも思ったが、せっかく来たのに見ずに帰るのも無念である。勇気を振り絞って、草むらをかき分け突き進んだ。 そう広くはない社地だったが、確かに拝殿と本殿があり、高良神社であることを確認できた。かなり風化した五輪の塔のような石積みもいくつかあり、似たような石積みが菅生神社の裏手にもあるという。菅生神社境外末社とされるには、それなりのつながりがあるのかもしれない。 一方『西讃府志』を見ると「三野郡高野郷」のページに、「西之村」は次のように書かれているが、高良神社についての記述はない。
どういうわけか、次の「中之村」についての記述中に「高良大明神 宮坂ニアリ」と出てくる。中之村は西之村の南側に隣接する村である。一つの高良神社の鎮座地について、こうも記述が異なるのはどうしたことだろうか。もしかしたら、かつては村ごとに高良神社があって、複数の鎮座地が混同された可能性すら見えてくる。というのも、菅生神社の境内社として高良神社が存在しており、ある段階で神社整理されたとしたら、近くに旧鎮座地があるはずなのだ。とりあえず、菅生神社についても調査する必要がありそうだ。 PR |
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