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 日本史上最大のクーデターともいわれる本能寺の変(1582年)を起こした明智光秀を通して描かれる戦国絵巻『麒麟がくる』が、いよいよ1月19日(日)に放送スタートとなる。仁のある政治をする為政者が現れると降り立つとされる聖なる獣・麒麟ーーそれがタイトルの元になっている。
 なぜ、明智光秀は謀反を起こしてまで、主君・織田信長を討とうとしたのか。背後の動機などをドラマでどのように描くか注目したいところだ。高校の日本史B教科書『詳説日本史改訂版』(山川出版社、2017年)には次のように書かれている。
 このようにして信長は京都をおさえ、近畿・東海・北陸地方を支配下に入れて、統一事業を完成しつつあったが、独裁的な政治手法はさまざまな不満も生み、1582(天正10)年、毛利氏征討の途中、滞在した京都の本能寺で、配下の明智光秀に背かれて敗死した(本能寺の変)。

 はっきりとした動機までは書かれていないものの、「独裁的な政治手法はさまざまな不満も生み」と表現している。軍記物語などでは粗相をした光秀が信長に辱めを受け、その恨みを晴らすべく謀反を起こしたとする「怨恨(えんこん)説」が一般に出回っているストーリーである。ところが近年の研究では、どうも従来考えられていた通説とは違っていたことが明らかになってきている。
 1月1日(水)の正月番組BSプレミアムの「本能寺の変サミット2020」では、気鋭の研究者が一堂に会し、「本能寺の変」をめぐる歴史激論バトルを繰り広げた。【司会】爆笑問題,【解説】本郷和人、【コメンテーター】細川護煕、【パネリスト】天野忠幸・石川美咲・稲葉継陽・柴裕之・高木叙子・福島克彦・藤田達生というメンバー。
 野望説、共謀説などが紹介される中で、最も注目されたのが「四国説」である。林原美術館(岡山市北区丸の内2−7−15)に所蔵されていた石谷家文書によって、新たな事実が分かってきている。詳しいところまでは言及されていなかったが、簡単に言うと、織田信長の四国攻めから長宗我部元親を守るためのやむを得ざる選択であったということだ。
 長宗我部元親夫人については斎藤内蔵助の妹ではなく、土岐石谷兵部大輔光政の娘であったことが、朝倉慶景氏によって昭和54年の段階で発表されている。明智光秀もやはり清和源氏土岐氏の流れを汲んでいる。「長宗我部元親夫人の出自について」(『シリーズ織豊大名の研究第一巻 長宗我部元親』平井上総編著、2014年)の中で朝倉氏は「元親は石谷氏を核として、斎藤氏・蜷川氏・明智氏らと固く結ばれて情報を得たり、行動を共にしているのである」と述べている。
 そのような最先端の研究の成果が、果たしてNHK大河ドラマ『麒麟がくる』にどこまで反映されているだろうか。楽しみである。


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