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このところ県外の高良神社ばかり紹介していたので、高知県にはもう無いのかと言われそうである。「汝の立つ所を深く掘れ」とのニーチェの言葉を胸に、県内の高良神社密集地帯へ向かった。
 そんな場所があるのか? 県東部の安芸郡ーーここには未知の高良神社がまだまだ存在する。そうにらんだのは、いくつかの根拠があった。
 高良神社探しのポイントとしては、旧郷社格の八幡宮の境内社をチェックするのが可能性が高い。これは明治初年の神社整理や明治時代末の神社合祀の政策などによって、小さな高良神社は近隣の大きな八幡宮の境内社となっていることがよくあるからだ。
 安芸市西浜3488の西八幡宮(祭神:胎中天皇、合祭:底筒男命・中筒男命・表筒男命・天之児屋根命)、安芸郡安田町安田2170の安田八幡宮(祭神:足伴津命、神功皇后、応神天皇)など、目ぼしいところを見て回った。境内社はあったが高良神社は見つからない。もしかしたら祀られているかも知れないが、摂社名や祭神名が書かれていないものもある。

 次に向かったのは安芸郡田野町淌涛(しょうとう)2851田野八幡宮。ここは旧郷社であり、地域の総鎮守で最も可能性が高いと見ていた。参道の陸橋を渡って行くと、境内には黒づくめの男たちが……。場違いなところに来てしまったとの思いも浮かんだが、神様がこの場に引き合わせたのかもしれない。
 この日(9/24)は安芸郡及び安芸市等の郡市祭で、各地区から氏子代表と思われる地元の名士の方々、神職一同が集まって、重要な祭事を奉祀されているところだったのだ。

 祭事が一段落して、皆が直会(なおらい、共飲共食儀礼)へ向かう前に高良神社のことを伺った。摂社として祭られていると思い込んでいたら、宮司さんの返答は意外なものだった。「高良玉垂命のことですね。八幡宮の御祭神としてお祀りされています」とのこと。史料は残っていないそうで、それ以上のことは聞けなかった。お忙しいところを引き止めて申し訳なかったが、この証言だけでも感謝である。摂社扱いではなく、八幡宮の祭神として崇敬されていたことが分かったのだ。
(後編へ続く)

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 大学時代に『「邪馬台国」はなかった』(古田武彦著)を読んで、夜寝られなくなりました。古代史に関心を持つようになったきっかけです。
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