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古代史の世界で兄弟子と慕う合田洋一氏の5作目となる本が出版された。『葬られた驚愕の古代史』(合田洋一著、2018年5月28日発売 創風社出版)である。サブタイトルは「越智国に“九州王朝の首都”紫宸殿ありや」となっていることから、いよいよ「紫宸殿」問題に本格的に言及されているのだろう。このテーマは高知県の「内裏」問題とも関連性があるので見逃せない。 目次は以下のようになっている。いずれも興味深い内容ばかりである。第一編 伊予に在った古代王国「越智国」 第二編 「日出ずる処の天子・多利思北孤」の伊予行幸 第三編 万葉集を彩る九州王朝の天子・中皇命とは 第四編 九州王朝の天子・斉明と熟田津 第五編 永納山古代山城築造の背景 第六編 九州王朝存在の証―「評」による証言 第七編 越智国に「紫宸殿」あり 九州王朝の幻の首都だった 第八編 天武天皇の謎―「万世一系」系図作成の真相 第九編 「九州王朝」の終焉と新生「日本国」の成立 追編 「古代史の万華鏡」 さて、合田洋一氏といえば、かつては「道後の敵」とまで呼ばれたことがあった。「道後温泉は日本最古の温泉ではない」「聖徳太子は来なかった」など、歯に衣着せぬ物言いで、地元の観光業界からは、大いに煙たがられたことであろう。しかし敢えて苦言を呈する動機は、「偽りの歴史を残しては、後世の笑い者となる。真実を明かさなくてはいけない」との一念であった。 近年では「合田さんの言っていたことは正しかった」と地域の名士たちも認め出している。北海道出身の合田氏が古田武彦先生と出会って、還暦から始めた古代史研究が遂に実りを結ぼうとしている。まだまだ解明しなければならない課題は残されている。今後とも、古田史学を基軸とした合田洋一氏の歴史研究に期待したい。
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