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   『吾川郡春野町資料調査報告書』(高知県立郷土文化会館、昭和53年)の中に荒倉神社の蔵書が記載されている。もちろん、神道関係の資料が多いのだが、蔵書32点中、橘家関連の写本が3点ある。「橘家蟇目鳴弦之伝書」(3冊)「橘家神体勧請伝」「橘家清祓式法」。また、荒倉神社史料として「橘家夏越祓式」がある。

   ここに登場する橘家とは?  京都梅宮の神官橘氏に伝わる橘家神道なるものがある。江戸時代中期、玉木正英が唱導した神道で、橘諸兄(もろえ)から伝わると称する。思想・教学的な面より行法や儀式を重視、蟇目(ひきめ)・鳴弦など諸神事・秘伝を体系化した。
   蟇目鳴弦は諏訪大社の「新年祈請祭」で弓を射て、弦を鳴らす悪霊退散の儀式。「蟇目祈祷と鳴弦法は、神長官守矢家の一子口伝で代々伝えられたが、今は廃絶してしまった」とされるが、諏訪大社の勧請によって「橘家蟇目鳴弦之伝書」が持ち込まれたのであろう。

   荒倉神社の宮司は吉良家が32代守り続けてきたが、数年前新川さんという方に交代した。その際お返しした物もあったというから『報告書』記載の資料群が残っているかは定かではない。
   吉良城主の吉良氏との繋がりについて詳細は分からないが、 「年譜書」によれば、元親治政期に、社領とも召上げられ、一豊入国時の慶長五年、改めて社領二反(二石)を与えられ、享保十五年には藩庁直支配となっているようである。この間神官二代の吉良又八斎垂は吉良姓を井沢姓に改め、維新を経験した井沢石見光徳は井沢を再び吉良に返している。社名は王政復古を境に荒倉三社大明神から荒倉神社へ、社格は郷社であった。
   この三社のうちの1つが諏訪大社であり、春日大社と共に荒倉神社に勧請されている。


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    神母神社が建っている場所は土佐市宇佐町の県道39号線が宇佐湾に出る直前の中央分離帯。道路が整備される時に信仰深い人々が神社をそのまま残そうとしたことが感じられる。
   高知県には、全国的に見られる稲荷神社はほとんど無く、その代わりに保食神(うけもちのかみ)を御祭神とする神母神社・通称おいげさんが多数祀られている。農業に関係の深い神様とされているものの、その実体ははっきりしない。
   朝倉神社(土佐の二宮、延喜式内社)の祭神が天津羽羽神(あまつははがみ)といい、こちらも『古事記』『日本書紀』に登場しない神様である。もしかすると何らかの関連性があるのかもしれない。

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    宇佐大橋を渡ってすぐ右手に丹生神社(土佐市宇佐町井尻)がある。地名に詳しい人ほど「にゅう」と読みたくなるのではないだろうか。ここは「たんじょう神社」あるいは「たんじょう様」と呼ばれている。
   京都府には丹生(たんじょう)さんと読む名字の方もおられる。丹生地名は「あおによし奈良の都~」で知られる朱色の原料である丹砂(水銀)の産地と関連付けられることが多い。
   その他、詳しくは「南国土佐へ来てみいや」が参考になります。

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   仁淀川に近い、高知市春野町の天皇という場所に建つ天皇神社。ほとんど何も分からない。昔は天皇村という住所だけで郵便物も届いたという。
   古戦場でもあり、椿の花が亡くなった武士たちの魂を思い起こさせた。

   天皇神社というには、あまりにも寂しげな境内。自動車で入り込むと溝にタイヤを落としそうなほど狭い道で、ナビに道が出てこない。やっとのことで元の道に戻ってくることができた。

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 高知市春野町弘岡中1113に鎮座する荒倉神社は、約1300年前に吉野の丹生川上神社から天闇靇大神を勧請したと言い伝えられている。後に春日大社および諏訪大社からも併せて四柱の神様を勧請している。

 周辺には横手古墳、後田遺跡がある。しかも後田遺跡から川の神を祀(まつ)る祭器である古墳時代の土器などが多数出土しているので、六~七世紀頃には古代村落が成立していたと推測できる。

 1300年前というと丁度、大宝年間(701~704年)前後に当たり、「コウラ」という場所に建つ八坂神社でも触れた九州王朝から大和朝廷への政権交代の節目である。全国的に見ても大宝年間の勧請とされる神社は多く、同時多発的に広範囲でなされた出来事は政治権力による政策の反映と見るべきだろう。


 竹崎五郎著『高知県神社誌』には、「戦国時代に本山茂辰に、江戸時代に二代藩主山内忠義以降の歴代藩主に篤く信仰され神殿の造営や社領の寄付などがあって保護されていた」とある。
 裏山が山内家の狩場とされ、境内で煮炊きをした際に、残り火で神社が全焼し、古い資料が焼失してしまったことが実に残念でならない。



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 「母の守り神は聖姫大神でした。その名前や柔らかい話し方からして、てっきり女性神と思っていました。~聖姫大神に『あなたは男性だったのですか?』と尋ねたところ、『そうです』という答えが返ってきて、驚いたことがありました」。


 今回は学問的な話ではないので、楽に聞いて下さい。最近発売された『死んだらわかるけど、それでは遅い』(北谷真雄著)という本を「先に読んでみて」と妻に言われ、読み始めました。
 すると、冒頭の体験談です。丁度、ブログ「ひぼろぎ逍遙」で姫大神は男性神という話題を目にしていたところだったので、不思議な引き合わせを感じたのです。
 父親の事故をきっかけに、霊通するようになったお母さん。自宅を神道の教会にして人助けし、著者自身も小学生のころから霊的な体験を重ねてきた、そのいきさつなどが書かれていました。

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朱儒国民
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塾講師
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将棋、囲碁
自己紹介:
 大学時代に『「邪馬台国」はなかった』(古田武彦著)を読んで、夜寝られなくなりました。古代史に関心を持つようになったきっかけです。
 算数・数学・理科・社会・国語・英語など、オールラウンドの指導経験あり。郷土史やルーツ探しなど研究を続けながら、信頼できる歴史像を探究しているところです。
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