愛媛県に高良神社は何社あるだろうか? 高良神社について調査し始めた頃、愛媛県には高良神社が少なすぎると感じていた。高良大社(福岡県久留米市御井町1)が筑後国一宮であり、九州との位置関係を考えると、四国においては愛媛県にこそ最も多く分布するはずであるとにらんでいた。調べていくうちに、数はどんどん増えていった。単立の高良神社が残されておらず、すべて境内社となっているため、見つけるのは容易ではなかったが、10社ほど発見しリストアップしていた。 『愛媛県神社誌』を開いてびっくり、愛媛県の「県内神社分布表」が既に作成されていた。高良神社(高良玉垂社を含む)についても、すべて境内社として11社が数えられていた。最初からこの資料があったらと思わないでもなかったが、その内訳については気になるところもある。忽那島支部1社とあるが、掲載されている18社中に高良神社の名は見えない。八幡神社(温泉郡中島町津和地1422)の境内神社として武内神社(武内宿祢)があるので、これを入れたものであろうか。
また、旧郷社・八幡神社(北宇和郡津島町高田乙92)の境内社・得寿森神社(高良玉垂命、天照大御神、須佐之男命外四三座)については「初め高良神社と称したが、明治四二年四月に部落の全社と近郊の小社を合祀して得寿森神社と改称した。昭和三九年一二月に社殿を改築した」とある。さらに旧県社・八幡神社(北宇和郡吉田町立間1-3908)の境内社・和霊神社についても祭神が「高良玉垂命、山家公霊、火産霊神、菅原神、大国主神、外一柱」と書かれている。 やはり過去においては、愛媛県は高良神社が濃厚に分布する地域であり、九州との縁が深かったと推測される。不幸にも明治39年の神社合祀令により、無格社などの多くが、郷社など地域の中心的な神社へと合祀され、一村一社を標準とするよう整理されていった。このような神社整理を最も忠実に行ったのが三重県、和歌山県そして愛媛県であった。逆に神社合祀令の前後でほとんど神社数が減らなかったのが、熊本県と岩手県であったという史料も存在する。 愛媛県の高良神社をリストアップすると以下の表のようになる。多少疑問のあるところも含めると14社ということになった。これ以外に武内宿祢命を祀る神社が10社以上あり、神社合祀令がなかったとしたら、かなり濃厚に高良神社が分布していた様子が伺える。予想通り、古代九州王朝との繋がりが深かったと考えても良さそうだ。
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