「肥さんの夢ブログ」で、高知県の「内裏」地名にスポットが当てられ、注目が集まっている。最近のブログでも「『小字 内裏』は,他にもあるか?」と題して、ネット検索の結果がリストアップされていたが、やや物足りない印象を受けた。インターネットは便利であるが、検索にかからないものもある。
合田洋一氏からも前に「内裏地名はいくつかあります」という話を聞いていた。その時点では、京都や奈良、太宰府はあって当然としても、高知以外に「内裏」地名があるのだろうかとやや疑問も持っていた。そこで『地名辞典』で拾ったところ、いくつか見つかった。
①京都市「内裏」、②奈良県「内裏」、③滋賀県甲賀市「内裏野」、④福岡県北九州市「旧・内裏村」(後に大里町)、⑤長崎県佐世保市「内裏山城」、⑥熊本県菊池市「内裏尾」、⑦千葉県富津市「内裏塚」、⑧東京都八王子市「内裏谷戸」、⑨高知県南国市「内裏」
①~③は大和朝廷に関係するもの。④~⑥は九州王朝との関連があるのではないかと予想される。その他⑦~⑨についても、多元史観に立って調査する必要があるかもしれない。上記には「大裏」地名は別扱いとしたため、太宰府および静岡県の「大裏」は含めていない。実際に高知県以外にも「内裏」地名は存在した。合田氏のおっしゃる通りであった。
氏は著書『地名が解き明かす古代日本―錯覚された北海道・東北―』(2012年)の中で、一章を割いて、「渡」地名遺称についての調査結果を示しておられる。同書における「渡嶋は北海道ではない」という論証は見事なものであったが、古田武彦氏より「合田さん、やることが一つ残っていますよ」とアドバイスされたのだという。それは『角川日本地名大辞典』を使って、全国の「渡」地名を全数調査することである。もし「渡嶋は北海道ではない」とすれば、「渡」地名の分布にその傾向が現れるはずである。「言うは易し。行うは難し」だが、古田氏自ら『三国志』中の「壹」「䑓」の全数調査を行って「壹は䑓の誤りではない」ということを論証している。これこそが古田史学の方法論である。
氏は著書『地名が解き明かす古代日本―錯覚された北海道・東北―』(2012年)の中で、一章を割いて、「渡」地名遺称についての調査結果を示しておられる。同書における「渡嶋は北海道ではない」という論証は見事なものであったが、古田武彦氏より「合田さん、やることが一つ残っていますよ」とアドバイスされたのだという。それは『角川日本地名大辞典』を使って、全国の「渡」地名を全数調査することである。もし「渡嶋は北海道ではない」とすれば、「渡」地名の分布にその傾向が現れるはずである。「言うは易し。行うは難し」だが、古田氏自ら『三国志』中の「壹」「䑓」の全数調査を行って「壹は䑓の誤りではない」ということを論証している。これこそが古田史学の方法論である。
合田氏は何度も図書館に通いつつ、各県ごとの地名一覧のページをコピーしては、日本全国の「渡」地名を拾い上げた。その結果、北海道には一例を除いて「渡」地名は見当たらず、むしろ青森県をはじめとする東北地方に多く存在していたのである。(全国的に見ると鹿児島県をはじめとする九州周辺に最も集中しているようだ。)
さて、問題は高知県南国市の国府跡に存在する「内裏」地名である。実は『長宗我部地検帳』に「タイリ」として2か所出てきている。国府域の紀貫之が住んだとされる「内裏」は有名であるが、もう一か所は国分川の南岸にある。菅原道真の息子、高視が居所とした場所ではないかとの新説が「菅原高視の居所について」と題し、『土佐史談268号』(土佐史談会、2018年7月)に発表された。その居所として比定された場所が高知県における「もう一つの内裏」である。
これまでにも「内裏」に関する記事をいくつか書いてきたが、完全な結論には至っていない。「多元的『国分寺』研究サークル」でも高知県の遺跡を精査し、データ化して下さったことで研究の材料も増え、新しい視点も与えられた。また、他県における「内裏」地名の研究と比較対照することも必要になってくるかもしれない。今後とも研究ネットワークを広げ、有益な情報交換を進めつつ、未解決の課題に踏み込んでいきたいところである。
最後に土佐国府跡に関するこれまでの記事をリストアップしておく。
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HN:
朱儒国民
性別:
非公開
職業:
塾講師
趣味:
将棋、囲碁
自己紹介:
大学時代に『「邪馬台国」はなかった』(古田武彦著)を読んで、夜寝られなくなりました。古代史に関心を持つようになったきっかけです。
算数・数学・理科・社会・国語・英語など、オールラウンドの指導経験あり。郷土史やルーツ探しなど研究を続けながら、信頼できる歴史像を探究しているところです。
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