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高知の夏祭りを締めくくる一宮・土佐神社の志那祢(しなね)祭は、高知の神祭として歴史と伝統ある祭りとされている。その由来や語源について調べてみたいと思っていたが、材料不足のためまだ手つかずのまま。
 とりあえず身の周りの高知県民に「しなね様」について聞いてみたが、大半が「知らねー」との答え。高知の夏は「輪抜け様」に始まり、「よさこい祭り」で絶頂を迎え、「しなね様」で終るとも言われる。
 高知市の『志那袮祭』は土佐三大祭りの一つ(他は中土佐町の『久礼八幡宮秋季大祭』、仁淀川町の『秋葉祭り』)であるが、意外にも知らない人が多かった。ローカル色の強いお祭りだということか?
 今年(2018年)のスケジュールをパンフレットから紹介しておく。
8月24日(金)宵祭り
20:00  神事 宵宮(参列自由)
21:00  悠久の舞(巫女四人舞)
22:00 悠久の舞(巫女四人舞)
●夕刻より夜店が多数出店します。
8月25日(土)大祭・御神幸
10:00 神事 大祭(参列自由)
13:00  鼓笛隊マーチ(一宮幼稚園園児)
15:00 神事 神幸祭
16:00 神輿巡行
16:30 お旅所祭
17:30 還幸祭
●古式神事が雅楽の調べとともに行われます。
ぜひ、ご参列ください。※夜店はありません。
土佐神社(高知市一宮しなね2-16-1)
 土佐神社は、土佐の総鎮守で、460年の創建と伝えられている。本殿、幣殿及び拝殿は長宗我部元親、鼓楼、楼門は山内忠義(二代藩主)の建立で、これらは国の重要文化財に指定されている。御祭神は味鋤高彦根神(あじすきたかひこねのかみ)、一言主神(ひとことぬしのかみ)。
 『日本書紀』の天武天皇四(675)年三月二日の条に「土左大神、神刀一口を以て、天皇に進る」とあり、また朱鳥元(686)年の八月十三日の条に「秦忌寸石勝を遣わして、幣を土左大神に奉る」とあり、祭神は土左大神とされていますが、『土佐国風土記』逸文には「‥土左の高賀茂の大社あり、其の神のみ名を一言主尊と為す。其のみ祖は詳かならず。一説に日へらく、大穴六道尊のみ子、味鋤高彦根尊なりといへり。」とあり、祭神の変化がみられ、祭神を一言主尊と味鋤高彦根尊としています。この二柱の祭神は、古来より賀茂氏により大和葛城の里にて厚く仰ぎ祀られる神であり、大和の賀茂氏または、その同族が土佐の国造に任ぜられたことなどより、当地に祀られたものと伝えられています。
志那祢の語源
 土佐神社の公式ページによると「旧暦七月三日の祭です。しなねの語源は諸説あり、七月は台風吹き荒ぶことから風の神志那都比古から発したという説、新稲(しいね)がつづまったという説、さらに当社祭神と関係する鍛冶と風の関連からとする説等があります」とのこと。
 「しな~」を「支那」との関連で説明しようとする説はあまり聞かない。本来「支那」には蔑称の意味はなかった。元々、中国固有の地名として存在するからである。「支那」を蔑称とするのは、戦争による憎み合いの副産物として生まれた負の感情によるものだろう。もしかしたら中国からの渡来系の神々が、かつては尊敬の念を持って「しな~」と呼ばれていたかも知れない。一考の余地はあるのではないか。
 24日は宵宮。参道にたくさんの屋台が出て、境内では神楽や太鼓等が奉納される。
 25日の午後3時から、御神幸(おなばれ)が行われる。この御神幸は日中にもかかわらず明かりをともした松明を持って行く。昔、浦の内(現須崎市)の鳴無(おとなし)神社への御神幸の帰りに風雨が強くなったため、磯伝いに帰っていると、途中、狼に襲われ、とっさに松明を振りかざし、狼を追い払った古事に基づくそうだ。
 現在では、浦の内の鳴無神社まで御神幸に行かず、江戸時代に五台山の北西の麓に土佐神社離宮(小一宮・こいっく)という御旅所が設けられ、船渡御しをするようになった。明治13年、現在の一本松にお旅所を建立して、徒歩で御神幸が行われるようになり、「船上がりの御祝儀」と呼ばれている。
 鳴無神社や土佐神社離宮までの御神幸は行われなくはなったが、土佐神社で志那祢祭が行われる8月24日、25日は両神社の志那祢祭の日でもある。特に、鳴無神社では25日の午後は浦の内に大漁旗をなびかせた船を浮かべて勇壮な御神幸(お船遊び)を行っている。

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 大学時代に『「邪馬台国」はなかった』(古田武彦著)を読んで、夜寝られなくなりました。古代史に関心を持つようになったきっかけです。
 算数・数学・理科・社会・国語・英語など、オールラウンドの指導経験あり。郷土史やルーツ探しなど研究を続けながら、信頼できる歴史像を探究しているところです。
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