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 『はるの暦』(春野地区町内会連合会)の7月の予定を見て、「あきさみよー」「ありえん」と、朝ドラ『ちむどんどん』風の驚きを覚えた。なんと毎日が夏祭りではないか。今日7月17日は、「弘岡上八幡宮夏祭り」「秋山春日神社夏季大祭」「諸木八幡宮夏祭り」と3社で行われている。むしろ祭りのない日が珍しい。強いて言うなら土曜日が少ない? これって、まさかユダヤ教の安息日に仕事をしてはいけないという伝統の影響なのではと、ふと頭をよぎった。

▲2022年7月の『はるの暦』

 いまだコロナ禍にあって、夜店などの出店はほとんど見られないものの、神事を欠かさず行っているとしたら、さぞかし宮司さんも大忙しだろう。近年は10社以上を兼任される方も多いと聞く。
 さて、『長宗我部地検帳の神々』(廣江清著、昭和47年)によると、中世における高知県内の「八幡の数は113社(安芸20、香美10、長岡15、土佐5、吾川16、高岡32、幡多15)にのぼる」とし、「当時全国的に八幡宮の地方への勧請は争って行なわれ、その多くは在来の土地の神社に取って代わることとなった」と言及している。
 八幡社がこのように多いことについて、宮地直一氏の『八幡宮の研究』では、次のような理由を列挙している。
一 宇佐・男山・鶴岡等の社領に各別宮を設けしこと。なかんずく男山最も広く散布せし結果、その別宮の数最も多かりき。
ニ 源氏の分布に従ひ、各地に八幡を設けしこと。
三 八幡宮の時めきし結果、あらぬ社をも八幡宮と変更せしこと。
四 豊後の諸八幡宮が大友氏に対して執りし政策の如く、一時の権宜より出でしこと。
五 応神寺の血脈の神は、八幡と号するに至りしこと。
六 寺の鎮守は、その祭神を問はず、八幡と号せしこと。
七 武神となりし結果、武家が各地にこれを奉じ、又その居城の鎮守となしたこと。
 『はるの暦』にあった「弘岡上八幡宮夏祭り」を見ておこうと思い立って、さてどちらの八幡宮だろうと考えた。吉良城近くの小山に祀られている八幡宮かと思って、竹林の小道を登っていくと、道は整備されていたものの、そこには誰もいなかった。もしかして前に紹介した“『鬼滅の刃』ブームと竈(かまど)神社⑨――春野町弘岡上の八幡宮境内社”なのではないかと思い、再度足を運ぶことにした。それほど近くに、複数の八幡宮が鎮座しているのである。
 夕方5時頃に着いてみると、すでに八幡宮夏祭りは終了して、片付けが行われているところだった。帰ろうとする人に「ここには鳥居が3つ並んでいますね」と話しかけると、「氏神様(八幡宮)と竈神社とお伊勢様(神明宮)です」と教えてくださった。竈神社を中心に西側に八幡宮、東側に神明宮という配置については先にも触れたが、どうも大和朝廷が定めた「二所宗廟」に由来するのではないかと思えてきた。
 宇佐神宮と聖武天皇との関わりはもっと古く、725年に宇佐宮を現在の小倉山に移した際、法蓮という雑密僧が境内に弥勒禅院を建立し、738年には聖武天皇の援助を受け豪華な金堂・講堂が建てられました。仏教と習合した八幡神は八幡大菩薩と呼ばれるようになります。
 その宇佐神宮を、京都の裏鬼門の守護として西南の男山に勧請したのも、大安寺の僧行教という空海の弟子です。やがて、王城守護鎮護の神、王権・水運の神として朝廷から崇敬されるようになり、伊勢神宮と並び「二所宗廟」と称されました。応神天皇由来の武の神であることから、源頼義により源氏の氏神とされ、武士の世になると鎌倉から全国に拡がりました。今約8万ある神社のうち、最多は稲荷社で2番が八幡社です。(『サンデー世界日報』より)
 つまり、平安時代に朝廷が八幡宮と伊勢神宮に「二所宗廟」という位置づけを与えた。その二社が地方の神社にも勧請されたというわけだ。九州王朝時代においては、八幡宮の前身として、高良大社ないしは竈門神社が国家の宗廟としての役割を担っていたのではないかと推測している。まず竈神社ありきで、そこに「二所宗廟」としての八幡宮と神明宮が勧請された……。旧郷社でもある高知市春野町弘岡上の八幡宮の祭祀形態がこの仮説を後押ししているかのようだ。



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 大学時代に『「邪馬台国」はなかった』(古田武彦著)を読んで、夜寝られなくなりました。古代史に関心を持つようになったきっかけです。
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