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 アイドルグループ「ももいろクローバーZ」の高城れにさん(29歳)が日本ハムの宇佐見真吾捕手(29歳)と結婚することを11月6日、発表した。宇佐見選手は球界屈指のモノノフ(ももクロのファン)で、ファンがトップアイドルと結婚する“推し婚”として注目されている。
 「モノノフ」について、次の3つの意味が『実用日本語表現辞典』に記されていた。
(1)「武士」の読みの一種。武道を修めた戦士を指す語。
(2)「物部」の読みの一種。ニギハヤヒミコトを祖神とし、飛鳥時代前後に栄えた豪族。
(3)カタカナ表記で「モノノフ」と表記する場合は、女性アイドルグループ「ももいろクローバーZ」のファンならびにライブの観客を指すことが多い。
 ここでは(3)ではなく、(2)の「物部」、とりわけ高知県の土佐物部氏についてスポットを当ててみたい。まずは『日本姓氏語源事典』から引用しておこう。

【物部】

岡山県、京都府、福岡県。モノノベは稀少。職業。物を司る部民から。推定では福岡県久留米市御井町の高良大社を氏神として古墳時代以前に奈良県を根拠地とした後に岡山県に来住。兵庫県洲本市物部は経由地。奈良時代に記録のある地名。地名は物部氏の人名からと伝える。高知県南国市物部は平安時代に記録のある地名。

 平安時代に記録のある地名「南国市物部」というのは『和名類聚抄』の香美郡物部郷のことであろうか。物部川下流右岸、現在の高知龍馬空港の近辺と考えられている。ここは弥生時代最大級の集落であった田村遺跡に隣接する場所でもある。また、紀貫之の『土左日記』に登場する「おおみなと(大湊)」については諸説あるが、最新の説(
朝倉慶景氏「土左日記にみる『おおみなと』について」『土佐史談275号』土佐史談会、2020年11月)では物部川河口右岸、高知龍馬空港の南辺付近に比定している。古代における海上交通の拠点であったことが分かる。
 『日本書紀』などにも登場する古代氏族の物部氏が、古い時代に物部川下流に移り住み、土佐物部氏を形成していったのだろうか。これまで古代史を探求しつつも、古代氏族に関してはあまり触れてこなかった。「君子危うきに近寄らず」ではないが、根拠不明瞭なことを空想だけで論ずることには、多少なりとも抵抗があったからだ。
 けれども土佐物部氏に関しては、少なからず根拠とするところがありそうで、可能な限り踏み込んで調べてみることにしたい。

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 大学時代に『「邪馬台国」はなかった』(古田武彦著)を読んで、夜寝られなくなりました。古代史に関心を持つようになったきっかけです。
 算数・数学・理科・社会・国語・英語など、オールラウンドの指導経験あり。郷土史やルーツ探しなど研究を続けながら、信頼できる歴史像を探究しているところです。
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