「先生、万有引力って何ですか?」
キタ━(゚∀゚)━!
高校2年の物理では万有引力について学習する。「万有」などという言葉は普段使うことがないので、その意味が捉えにくい。ここでどう答えるかが腕の見せどころである。言葉の意味を説明するのか。それとも公式を示してあげるべきか。
私は物理学者アイザック・ニュートン(1642-1727年)の話から入ることにした。
コロナ禍というわけではないが、ヨーロッパで感染症のペストが広まっていた頃、ニュートンは自宅にこもって考え事をしていたそうな。リンゴが木から落ちた時にニュートンは万有引力の法則を思いついたと言われている。なして? 「万有引力」というわけだから、万(よろず)の物が引っぱる力を有する。地球がリンゴを引っ張ったのでリンゴは地球に落ちた。それだけではない。リンゴも地球を引っ張っているのである。じゃあ、なぜ地球はリンゴに向かって落ちてこないのか。それは質量が桁違いに地球のほうが大きいので、目に見える移動は起きないのだ。
さて、リンゴは木から落ちてきたのだが、その上空にはぽっかり月が浮かんでいたという。ニュートンは考えた。「なぜ月は落ちてこないのか」と。当時のヨーロッパでは重いものは下に落ちる性質があるとされ、地上の法則と天体などの運動に関する天上の法則は異なるものと考えられていた。ニュートンはその常識に疑問を呈したのである。「万有」と名づけるからには、月や星なども含めた概念となる。地球と月の間にも万有引力が働くはずである。どうして月はリンゴのように落ちてこないのか。現代では常識の範囲かもしれないが、月は地球の周りを公転しており、重力と遠心力がつり合っているからである。
ある人は言った。「宇宙は回転するもので満ちている」と。まさに『自転しながら公転する』世界である。逆に言うと回転しないものは存在できなかったという理屈なのだ。すなわち宇宙のあらゆる存在は中心を求めて調和し、一体となって回転運動しているのである。
<万有引力の公式> |
万有引力定数(G = 6.67×10-11 N⋅m2/kg2 |
ところで、万有引力の公式を見ると、力の大きさは距離の二乗に反比例することが分かります。距離が2倍、3倍……になると、力は2×2=4分の1倍、3×3=9分の1倍……というようにです。一説によると、学習効果も先生との距離の二乗に反比例するとも言われます。だから前に座ったほうがいいという話です。
「一番後ろに座っている人、もっと前に来ませんか?」
「いえ、大丈夫です。心の距離は近いですから……」
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算数・数学・理科・社会・国語・英語など、オールラウンドの指導経験あり。郷土史やルーツ探しなど研究を続けながら、信頼できる歴史像を探究しているところです。