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 古代の条里制の南北線をどのように定めたのか。ある人から「東西線を先に決めたのだ」という話を聞いたことがあったが、春分・秋分の日の出や日の入りの方角という考えには納得できない思いがあった。なぜなら、縄文時代の建造物はむしろ冬至や夏至を意識した造りになっているものが多いからだ。
 「肥さんの夢ブログ」でも東偏5度問題がテーマとなっている。ちなみに古代土佐(高知県)の条里制は香長平野で東偏12度(N12°E)、鏡川下流域で西偏16度(N16°W)となっている。
 調べてみると、奈良文化財研究所「なぶんけんブログ」に、古代の方位測定法について書かれていたので、以下に引用させていただく。

 平城京をはじめとする都城や寺院、道路など、古代の土木建造物には、真北や真東西に方位を合わせたものが少なくありません。工事にあたって測量がおこなわれたことは確実です。では、具体的には、どのような方法で方位を測ったのでしょうか。 
 いまの私たちなら、方位磁針(コンパス)を使うのが簡便です。ただし、よく知られているように、磁針が指す磁北は、地球の自転軸の延長方向である真北とは一致しません。奈良や京都では、真北から7度ほど西にずれています。この差は地域や時代によって異なりますが、6~8世紀ではさらに大きく、西日本では平均して10~15度も西へずれていました。したがって、古代に磁北を測って方位を定めたのでないことは確実です。 
 次に思いつくのは、北極星を測ることでしょう。現在の北極星(ポラリス=こぐま座α星)は真北にかなり近い位置にありますので、これを利用するのが真北の測定法としてはもっとも簡便です。実際、古代にも北極星で真北を求めたと主張する人がいます。 
 ところが、北極星はずっと同じ位置にあったわけではありません。コマが首を振るように、地球の自転軸は約25,800年の周期で動いており(歳差さいさ運動)、現在の北極星が北の指標となったのは大航海時代(15世紀)以降といわれています。それ以前は、紀元前1,100年頃にコカブ(こぐま座β星)、紀元前2,800年頃にはトゥバン(りゅう座α星)が北極星の役割を果たしていました。しかし、古代の日本に、北極星にあたる星は存在しなかったのです。 
 ではどうやって方位を測ったのかというと、まず間違いないのは太陽を利用する方法です。地面に棒を垂直に立て、それを中心に円を描きます(全周させなくてもかまいません)。午前と午後の2回、棒の影の先端が円周上にくるときがありますが、その2点を結べば、ほぼ正確に真東西となります。この方法は、古くから『周礼しゅらい』をはじめとする中国の書物に記され、簡単なうえに精度もよいことが実験でも確かめられています。日本へは、そうした書物や朝鮮半島からの渡来人をつうじて伝えられたのでしょう。 
 ですから、方位の測定では、まず東西線を決め、そこから直角に振り出すことで南北線を定めたと考えられます。そのさいに、各辺の長さが3:4:5の直角三角形(勾股弦こうこげんの法として広く知られていました)を利用したことは確実です。7世紀の奈良盆地には、横大路よこおおじという東西道路と、上ツ道かみつみち・中ツ道なかつみち・下ツ道しもつみちという等間隔の南北道路が存在していました。最初に横大路が設定され、3本の南北道路はそれと直交するようにつくられたものと思われます。 
 平城京は、このうちの下ツ道を基準に設計されていますから、造営時にあらためて方位を測定したわけではありませんが、その精度は古代の測量技術がかなりの水準に達していたことを物語っています。 (2013年6月のブログより)
 棒の影の長さが円の半径に等しくなる時刻が、午前と午後で一回ずつある。その方角は太陽が南中する真南の方角から対称なので、かなり正確に東西方向を決めることができそうである。その線に垂直な方向を南北線と決めるというわけだ。
 しかし、問題は敢えて真北より東へ5度(東偏5度)ずらした方角で建てられた建造物群が存在するということだ。果たして、どのような意図があったのだろうか? 県内の古代建造物についても検証してみたいところである。



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 大学時代に『「邪馬台国」はなかった』(古田武彦著)を読んで、夜寝られなくなりました。古代史に関心を持つようになったきっかけです。
 算数・数学・理科・社会・国語・英語など、オールラウンドの指導経験あり。郷土史やルーツ探しなど研究を続けながら、信頼できる歴史像を探究しているところです。
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