昨年(2020年)、『東洋町の神社と祭り』(東洋町資料集・第7集)で原田英祐氏が第41回平尾学術奨励賞を受賞した。東洋町神社の由来や資料集・年中行事・歴史文化を刊行・文化財保護に力を注いだことなどが評価されものだ。原田氏は高知県安芸郡東洋町野根の郷土史家。1977年、31歳のころから野根史談会の一員として活動。半世紀近く高知県東部の歴史文化を丹念に掘り起こしてきた。「郷土史の火種になる知識を残そう」と、資料集の発行を進め、現在までにすでに7集を発行している。
第6集『土佐日記・歴史と地理探訪』については興味深く読ませていただき、資料としても大変参考になるものであった。「土佐日記は過去の教科書や参考書を読んでも、さほど面白くない。これを郷土史の立場で深読みをすると、断然面白い」と著者・原田氏は言う。
「紀貫之は名家・紀氏の復活を目指したが、天皇・上皇の交代で新派閥から外れ、遠国土佐へ左遷された。国司の任を終えて帰京したが、貫之には冷淡な官界となり、帰り着いたわが家はボロボロに荒れ果てていた。このようなストレスを発散するため、帰京して半年後に『土佐日記』を書いた。日記文の中からストレス発散部分を探り当てる人は読みの達人である」とも。
『土佐日記』の原文とともに縁の地名の写真や、関係する資料も掲載されており、さまざまな角度から読み解かれていて、『土佐日記』の新たな一面が楽しめる。
『土佐日記』の原文とともに縁の地名の写真や、関係する資料も掲載されており、さまざまな角度から読み解かれていて、『土佐日記』の新たな一面が楽しめる。
そして、待望の第7集『東洋町の神社と祭り』ーー遅まきながら、やっとを手に取ってみて驚いた。知りたかった情報が満載である。まず、東洋町における高良神社の情報が網羅されている。その他、神社研究には欠かせない史料・文献など、よく収集されている。
『南路志』『皆山集』に代表されるように、土佐の歴史家は伝統的に史料収集に徹して、私見を交えず、後世の歴史家にバトンを託してきた偉人たちが多い。その伝統に違わず、原田氏の取り組みは現代の武藤致和・松野尾章行に喩えられる業績であり、平尾賞受賞は妥当であり、むしろ遅すぎたくらいかもしれない。
『南路志』『皆山集』に代表されるように、土佐の歴史家は伝統的に史料収集に徹して、私見を交えず、後世の歴史家にバトンを託してきた偉人たちが多い。その伝統に違わず、原田氏の取り組みは現代の武藤致和・松野尾章行に喩えられる業績であり、平尾賞受賞は妥当であり、むしろ遅すぎたくらいかもしれない。
高知新聞(2020年5月29日)に「平尾学術賞を受賞して」と題して、原田英祐氏のコメントが掲載されている。もう少し早く紹介したいと思いつつ、年を越してしまった。その一部を引用しつつ、氏の研究の発展を祈りたい。
718年の南海道の新官道開設は、高知では野根山街道しか研究されていない。徳島では鳴門の撫養(むや)港から「中みなと」「奥みなと」という南部海岸の水駅(港)の研究しかない。徳島南部の海路と高知東部の陸路をドッキングさせるのが、私の役目だろうか。……まだまだ道は遠い。全てをまとめ終わるまでに、果たして寿命が足りるだろうか。
原田氏の運営する東洋町の歴史のHP
https://toyotown-historic-spots.blogspot.com/p/blog-page_5.html
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(仁淀川歴史会、2024年7月)
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高知県の郷土史について、教科書にはない史実に基づく地元の歴史・地理などを少しでも知ってもらいたいとの思いからメンバーが研究した内容を発表しています。
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朱儒国民
性別:
非公開
職業:
塾講師
趣味:
将棋、囲碁
自己紹介:
大学時代に『「邪馬台国」はなかった』(古田武彦著)を読んで、夜寝られなくなりました。古代史に関心を持つようになったきっかけです。
算数・数学・理科・社会・国語・英語など、オールラウンドの指導経験あり。郷土史やルーツ探しなど研究を続けながら、信頼できる歴史像を探究しているところです。
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