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これまで『皆山集1』に九州年号(倭国年号)を3例見い出した。月山神社の「白鳳年間」菅原道真の刀剣「朱鳥二年八月北」小村神社の「勝照二年」である。それに加えて新たに4例目を発見した。

 「夜須村夜須川分ヲクタニ荒神小宮神社記云来歴不相知但大化二年御鎮座と申傳宝之曰昔ハ香我美長岡安喜郡惣鎮守ニテ……」(P120)
 香我美郡夜須村の荒神の鎮座が「大化二年」と伝えられているというのだ。大化の改新が645年(虫殺し)であるから、普通に考えると大化二年は646年になりそうである。しかし『日本書紀』の大化の改新(乙巳の変)の記述には、専門家からも疑問ありと指摘されている。事実そのままではなく、何がしかの書き変えがなされているというのだ。
 一方、九州年号の「大化」は695~703年の間使用されたことが分かってきた。そうすると夜須村の荒神の鎮座「大化二年」は696年なのだろうか。『日本書紀』の影響を受けていない本来的な伝承がそのまま伝えられていれば、そうかもしれない。茨城県の「大化五子年」篆刻土師器は7世紀末の九州年号との一致が見られる例である。
 いずれにせよ、延喜式内社でもない荒神社が大宝元年(701年、ONライン)以前の鎮座ということは、本当であれば驚くべきことである。しかも昔は香美郡・長岡郡・安芸郡3郡の惣鎮守だったというのだ。この件については更に詳しく調べる必要がありそうだ。


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