忍者ブログ
 2026年7月20日(月・祝)の海の日。徳島県の出雲神社で御朱印をもらう目的もあって、国道195号線を東へドライブ。なぜか小松神社(香美市物部町別役字宮ノ谷245)へ行かなければという思いが湧いてきた。香美市美良布のアンパンマンミュージアム辺りまではよく知った道であったが、その先は未知の道。
 小松神社へは途中で細い山道に分岐する。とりわけ高知県はすれ違いの難しい道も多く、大きめの車で進入していくべきかどうか迷った。しかも11km先の徳島側へ抜ける道は土砂崩れのため通行止めだとか。目的の小松神社は5km先なので、そこまでは通行可能なようだ。
 この日にお祀りがあるとは知らなったのだが、どういうわけか海の日にお祀りをやるらしい。それこそ大勢の人が集まるようなら、通行に難儀するのではという危惧もあったが、11月23日の秋の大祭ほどは賑わわないらしい。

 行ってみたら、ご夫婦が鳥居前で待っておられた。身内に不幸があって50日が経たないので、穢(けが)れがあり、神域に入れないとのこと。他の氏子の方々はすでに階段を下りて誰もいない。持参した玉串料を預ける人がいなくて困っておられた。そういう意味でも、私たち夫婦が訪ねて行ったことは神様の導きであったかもしれない。
 鳥居から階段を373段下りて小松神社社殿へ向かう。集落より下に神社が祀られるのは全国的にも珍しい。お隣りの徳島県三好市山城町尾又の高良神社がやはり階段を下っていったところに祀られており、まるで神社が隠されているかのようだ。

 境内に行くと、氏子の方々がお祀りの準備をされていた。話しかけるのも申し訳ない雰囲気であったが、思い切って氏子総代会の会長・松岡西鋭氏にお話を聞いてみた。平家伝承や秦の功満(こま)王のことなどについては伝説以上のことは出てこなかったが、伝統ある神社を継承していくための精誠の努力を惜しまぬ取り組みの実践には素晴らしいものがあった。
 境内の鳥居の前に二本の木があり、その間に船形の手水鉢がある。最近、水を引いてリニューアルした途端、参詣者が増えたと話していた。モノレールを作るためにクラウドファンディングにも挑戦した……。成功とまではいかなくても、貴重な人と人の繋がりが生まれたという。
 ふと、お守りやお札の横に積まれていた「別役唱歌」というCDが気になった。100年以上前から口ずさまれてきた、この地域に伝わる伝承などを叙事詩のようにまとめた郷土の歌であった。大正6年(1917年)頃に当時の別役小学校の林校長によって作詞・作曲されたとされ、長らく楽譜がなく人から人へ耳伝えで歌い継がれてきた。2023年に、地元出身者らによってその貴重な歌声と歌詞がCD化され、「幻のふる里の歌」は次世代へ保存と継承が行われた。
我等が住める別役は
昔秦氏の出でし地と
口碑に今も残りける
武陵桃源別天地
 延喜式内社に比定される小松神社は創祀年代は不詳。祭神は天御中主神だが、一説には、秦の功満(こま)王から出たとされる小松氏の祖神を祀るとする説もある。また、小松姓をもつ平家の落人が祀ったという説もあるが、平安時代の延喜式に載っている社だとすれば時代的に矛盾することになる。
 社前の農道を東へ行くと剣山国定公園。農道の途中、車道を離れ、山道を下った所に、小松神社姥宮がある。小松神社の御神体を背負ってやって来た老女を祀る社だ。老女が立てかけた杖が、小松神社の松の木に成長したという。伝説につつまれているが、神体は社人も何処に鎮座したか知らず、大工一人だけが知っており、柱の中に 安置してあったという。
 ストウ(現神社の東北)に御旅所があったが、昔神体を奉じて京より来村したとき、そこに奉安して休んだところ、ここに松があり、その松にかたどって松が茂るようになったという。また、一説にこのときに杖をたてて、もし松が茂るようであれば小松の社として奉祭することを誓ったところ、のちに松が繁茂したので小松と名付けて祭ったという。地名・社名の伝説であるが、さらに『皆山集』には次の伝説を記してある。
 傳曰、老女、神體を負て當村ニ来、須道奉鎮座、時日ヲ不移神飛テ光あり。光ヲ追テ見れハ谷岸ニ有神體。則ここに奉鎮座、其老女の杖須道ニ立置く。忽ニ葉を生出て松の木と成。今大木と、此松猶存す。 世稱して小松神社の松の木と云傳ふ。其老女を神ニ祭る。則須道ノ姥神是也。姥神神体石須道座。此則神社を負来りし老女の神霊と云。
-『式内社調査報告』-

拍手[0回]

PR
HOMENext ≫
この記事にコメントする
Name:
Title:
Mail:
URL:
Color:
Comment:
pass: emoji:Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
カレンダー
06 2026/07 08
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 25
26 27 28 29 30 31
フリーエリア
『土佐史学』創刊号
(土佐歴史学会、2026年1月)
500円
「土佐歴史学会」が『土佐史学』創刊号を発刊。研究論文2本、他。 2015年より開始した土佐歴史再発見研究会、土佐歴史研究交流会、 土佐歴史研究会などの研究会活動を経て、2024年新たに土佐歴史学会を設立。ホームページにも活動紹介あり。今、歴史の扉が開かれる。
最新CM
[07/31 https://exinvest.jp/exness-login]
[07/21 sportsbook]
[07/02 https://exinvest.jp/]
[07/01 exness]
[06/30 www.sftrade-japan.com/]
最新TB
プロフィール
HN:
朱儒国民
性別:
非公開
職業:
塾講師
趣味:
将棋、囲碁
自己紹介:
 大学時代に『「邪馬台国」はなかった』(古田武彦著)を読んで、夜寝られなくなりました。古代史に関心を持つようになったきっかけです。
 算数・数学・理科・社会・国語・英語など、オールラウンドの指導経験あり。郷土史やルーツ探しなど研究を続けながら、信頼できる歴史像を探究しているところです。
バーコード
ブログ内検索
P R
忍者アナライズ
忍者ブログ [PR]
Copyright(C) もう一つの歴史教科書問題 All Rights Reserved